日本財団 図書館


 

4−1−3 「今後とるべき経営方針」からみたA社の現状
本報告書において先に示した、業界に対する「今後とるべき経営方針」に関して、A社の経営における現状を分析的に評価することにより、今後のA社の経営方針を検討する前提とする。
以下、先に掲げた業界方針A〜Eについて、個別に検討する。
A 作業船に取り組むことの方針決定
?@現状の認識と対応策立案
現状において社長自身の営業活動が積極的に行われていることより、作業船市場に関するバランスのとれた情報収集が展開されている。また、先に掲げた自社の特色(強み)をはっきりと認識し、特色にマッチした事業展開を行っている。今後については、現在の特色についてトータルとしての相乗効果か発揮され、強力な強みとなるまでの戦略的な取り組みが図られることが望ましい。
?Aターゲットとなる作業船に対応した取り組み
クレーンの地元搭載実績もあり、ターゲット船である中型クラスの起重機船の建造を積極的に行っている。そうした取り組みの中で、海洋土木事業者あるいは道内商社からの知名度も向上しており、実績が強みとなりつつある。
B 技術の高度化と生産性の向上品質技術については、今後さらに建造実績を積み上げ、マリコンニーズを最大限具現化することにより、リピーター確保に繋げるべきである。その際には、北海道に関する知見を活かした船舶の建造、独自技術の確保など、特色づくりと非価格競争力の向上(差別化)についてもより一層推進することが望ましい。
価格については、コストダウン努力を継続的に行っており、瀬戸内造船所と競合できている(回航費分の削減メリットも含めて)。また、半自動溶接機などの工作機械も積極的に導入しており、生産性の向上を図っている。今後については、価格競争の激化等を見据え、さらに価格競争力を具備するよう前向きな継続的努力が求められる。
納期については、今後さらなる成長を目指し、作業効率を高めることで短納期化及び納期集中対策を図るべきである。
C 営業戦略の再検討
?@戦略的営業の展開
社長の機動力の高いトップ渉外が有効に機能しており、当社の強みの中核となっている。今後については、商社経由等の受注ルートの確保と、重点顧客渉外による「お得意さま」づくりなど、営業基盤をさらに強化していく必要がある。さらには、北東北を主とした道外受注も獲得できるような、営業エリアの拡大化も検討の余地があるであろう。
?A顧客との認識ギャップの解消
海洋土木事業者の事情を含めた、道内作業船市場の総合的な現状認識が確固として確立されており、現時点において、顧客との認識のズレ等は生じていない。今後については市場環境の変化も激しくなることが予測されるため、海洋土木事業者ニーズの早期察知と同時に、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION